初代刺青ボクサーとして、人気を集めた大嶋宏成が引退して、シャイアン山本ジムのトレーナーとなり、しばらくたった。
元来、面倒見がよく、親分肌の大嶋にとって、トレーナーという役割は適任ともいえる。
しかし、華々しいスポットを浴び、多くのファンに見守られたリングの上での経験は、この裏方の仕事を受け入れることを阻むことはないのだろうか。
その心配も一気に吹き飛ぶトレーナー振りを目の当たりにした。
シャイアン山本ジムの興行で指導している選手が出場した試合では、丁寧に声をかけ、選手の身体の動きを冷静に追い、的確に指示を出す大嶋の姿がそこにあった。
リングを降りてからの成長は、自分にしかわからない。
その一つ一つをかみ締めながら、日々自分を見つめ、自分の的確な役割を見つけてほしい。
そう願いながら、林はシャッターを切った。
ボクサーとしての大嶋宏成からトレーナーに転身し、これまでと同じようにリングでも社会でも活躍してする姿を追い続けたい。