「この厳しいご時世なんですがねぇ。
最近じゃぁ、暗がりになると斬られるってぇのが怖くて家から一歩も出ないっていう輩どもがいるってぇのは本当かい?
そのくせ、あれだなぁ、それが欲しいだぁ、あれやってくれぇだの言いやがる。
誠にもって情けない話だねぇ」
「いやぁ旦那、そいつぁ手厳しぃ。そりゃぁ皆さまぁ、命は惜しいものでしてねぇ。
人間なんざぁ、そんなところもあるんじゃぁございませんかぁ。
でぇ、そういう旦那わぁ、この暗がりでそんな勇んで一体何方へ行かれるんでぇございやしょうや」
「ぁあ、あたしゃぁ、この世で一番安泰なお屋敷へ行く途中でさぁ。
もし斬られちまったらぁ、元も子もないんでねぇ」
「はて。そいつぁ、旦那のおっしゃる輩どもと同じじゃぁございませんかぁ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気分転換にさらりと。
リスクを避けて闘う場所から降りてしまえば、
何を言っても説得力がないというおバカな話でしてね。