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【オフィスミギ】晴れ男なものですから

現場へ。

先月からとある現場へ張りつく。


311の震災で地下に埋まっている配管がすべて寸断されて、

稼働しなくなった大手食品工場があった。


復旧どころではなく逃げ出す業者が続出する中、

震災翌日から着手し、わずか6日で一部を仮稼働させたという

少数精鋭の職人たちがいた。


彼らは工場の外から穴を掘って

見たこともないような害虫だらけの地下壕内部へ潜り込み、

強烈な異臭がただよう汚水で胸までつかりながら突き進み、

引き裂かれた配管を手探りでひとつづつ探り当てるのだ。


そして、大きな余震で音を立てて揺れる暗闇の中で、

すべての配管を繋ぎとめた。

以後、工場が完全復旧まで従事する。


断ることもできなのではないか。

危険を顧みなかったのか。

せめて状況が落ち着くまで待機してもよかったのではないか。

それとも、望んで請け負ったのか。


そんな問いかけに、笑いながら答える。


「そりゃあ、やりたくないですよ。できるならもう二度とやりたくない。

でも誰もやらないんだから、やるしかないじゃない。困っているんだからさ」


誰もやらないからといってやれるのもでもないだろう。


なぜ、出来たのか。

危険を犯してでもやり遂げる強い動機が他にあったのか。

例えば、

「震災で苦しんでいる人たちのために」

というモチベーションだったのか。


なくはないが、それは結果論だという。

結果、ああよかったね、だという。

つまり大義名分は彼らのモチベーションにはなっていない。


では何がそうさせたのか。

何度も喰い下がって数人の職人たちに聞いてみたが、

言回しは違うにせよ、媚びへつらうことなく答えは皆同じだった。


「俺たちの仕事だから…」


今の現場は当時の状況と比べれば何てことはないのだろう。
ただ彼らの息遣いを感じていく中で

「仕事だから…」と言う意味が少しだけ解ったような気がした。

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by officemigi | 2017-10-30 18:54 | 林建次の日々 | Comments(0)
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