【オフィスミギ】晴れ男なものですから

8/.1

記胤は自分の身体と数ヶ月闘っているといっていい。
C型肝炎ウィルス。
放置しておけば、肝硬変から肝癌へ以降して絶望的な状況になるのは決まっている。
刺青が災いした可能性が大きい。
肝臓に問題があるのは薄々わかっていたことだった。
子供を授かり結婚して、自身の問題に向き合わなければならなかった。
週一回、抗がん剤と同等の副作用を持つ注射を半年続けなければならない。
これは倦怠感や鬱、脱毛、高熱など目に見えないものを受け止めなければならない。
この状況でも介護の仕事を昼夜問わず働く。
電話で話す記胤は明らかにロレツがまわっていない。
相当無理をしているんだろうと思う。
外からみてはわからないが、思うにまかせない身体で人並みに働くことがどれほど体力や精神力を削ってしまうのか、少しはわかる。一つのことに集中するだけでもかなりの労力を注がなければならない。ゆえに他のことまで考えが及ばないときがある。以前ならできたことが出来ない。
少し前だったと思う。深夜に彼は妻と娘が寝静まった頃に泣きながら電話してきたことがあった。
「家族をなんとしてでも守りたい。娘の成長を見守りたい」
今日も公園で話しをした。ヤクザだった頃の、もっともっと詳細な話しを、心境を。
彼はよくわかっている。自分の経験が誇れるものではないことを。
けど、闇の世界からボクシングで、闘うことで抜け出し、今、幸せだと言い切る記胤だからこそ救われる人たちがいる。実際、それを見て来た。
だから自分の役割の重さを痛感するのだ。
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by officemigi | 2014-08-02 02:52 | 林建次の日々 | Comments(0)
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