愛すべきカメラである。
4×5インチ。
構造はデジタルよりはるかにシンプルだが、
ティルトやライズ、スイングといった一般的な一眼にはない機能がある。
はじめて使った時、ピントグラスに写った被写体のディテールの
美しさといったら言葉もなかった。
ルーペをピントグラスにあてて、フォーカスを探るのに心は高ぶったものだ。
露出を計り、アングルとフォーカスを定め、F値を決め、シャッターを閉じて、チャージする。
レリーズを押してシャッターを切る。
やたらと手間がかかる分、撮ったという実感は35mmやデジタルとはまた明らかに違う。
暗室においても35mmやブローニーはロールフィルムで歪曲するのだが、
シートフィルムである4×5は水平が保たれていて、ピントによる粒子の誤差は少ない。
何より、その粒子の美しさに惚れ惚れするのである。
ドキュメンタリーばかりだから、なにかと35mmだけかと思われがちですが、
結構独学で勉強していて、今でも、しっかり扱えます。
かつては、これでボクサーのポートレイトや、仕事で家具なんぞも撮ったものです。