【オフィスミギ】晴れ男なものですから

ポンサクレック VS 升田貴久世界戦 2

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 試合はタイのチェンマイ、野外の特設リング。昼下がりの時間帯で蒸し暑い。
 
1回からポンサクレックのプレッシャーが強い。ポンサクレックも決して調子がいいとは言えないが、

それ以上にやはり升田くんの状態がよくない。あのワンディ・シンワンチャー戦で魅せた、

抜群のフットワークと距離感が見られない。切れのいいジャブも影を潜める。

ポンサクレックに簡単に距離を詰められてしまい、避けたかった接近戦に持ち込まれてしまう。
 
1回終了時点で射場トレーナーが升田くんの異常を察知した。

攻め込まれたにしても、決定的なパンチは貰っていなかったが、すでに升田くんの意識が朦朧としている。

厳し減量の影響だった。試合前の血圧は90だった。脳に血が巡っていない。

危険だ。しかし、この時点で終わらせるわけにはいかない。

勝つためにここまでやって来たのだ。

射場トレーナーは、升田くんの安全を考えて、

どこまで戦わすべきなのかギリギリの判断をしなければならなかった。


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2回、ポンサクレックはさらにプレッシャーを強める。

強烈なブローでダウンを奪われた。

だが、升田くんは必死でこの回を耐え抜いて生き残った。


しかしこれ以降、升田くんはさらに下降してゆく。

ポンサクレックは勝てると確信したのか笑みを浮かべ、余裕すら感じられる。

5回、ポンサクレックのワンサイドの状況で升田くんの手数がさらに少なくなる。

もはや升田くんはボクサーとしての本能だけで戦っている状態だ。自ら試合を投げることはない。

これ以上は危険だと感じた射場トレーナーが「この回を最後にするぞ」そう言って升田くんを送り出した。


6回、升田くんも瞬間、渾身のパンチを振るうが空を切ってしまう。

そしてポンサクレックの強烈な連打を浴びて升田くんがゆらゆらとロープに追い込まれる。

まったく応戦することが出来ず、ただ必死でガードを固めて耐え続ける。

ポンサクレックは仕留めようと冷静に升田くんの動きを見ている。

アッパーで懸命に踏ん張っていた糸が断ち切られ、スローモーションのようにマットに沈んだ。

レフリーが試合を止めた。6回TKO。



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ニュートラルコーナーに担がれた時、うわ言のようにこんなことを言っていたらしい。

「ここ、タイなの?試合は?ポンサクレックは?」

限界を超えた身体は悲鳴をあげて倒れたが、

薄れていく意識の中で、ボクサーとしての本能はまだ闘おうとしている。


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それを射場くんから聞いた時、切なくなった。

こんな状態でも、やはり勝とうとしていたのだ。

あり得ない減量で、エネルギーの全てを費やしてしまった。

言い訳になってしまうかもしれないが、リングに上がれる状態ではなかった。



しかし、升田くんはすぐに再起を宣言した。

最高の状態で自分のボクシングがどこまで通用するのか試したい。

そのために階級を3つ上げると言っていた。

その目は敗戦のショックを振り払い、真直ぐに前だけを向いていた。

まだ、終わらない。
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by officemigi | 2009-09-04 18:49 | 林建次の日々 | Comments(1)
Commented at 2009-09-05 01:24 x
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