【オフィスミギ】晴れ男なものですから

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高校球児

先日、久々に元ボクサーの川島くんと一緒に飲んだ。

彼は、現役時代、9時から5時まで会社で働くサラリーマンボクサーだった。
仕事を終えてからジムに通い、器用なボクシングを展開し、ランキング上位に位置し、タイトルマッチもにも挑戦。

最後の試合は、日本タイトルマッチ。
明日はひのきになろうというあすなろ物語にちなんで黄色のガウンを身にまとってリングに上がった。
惜しくもその夢は叶うことがなかったが、彼からはたくさんの勇気をもらった。


現役引退後、ボクシングと決別するために現役中お世話になった会社を去ることを決意。
何時までもボクサーとしての看板を掲げるわけにはいかないと苦渋の選択をした。

いまは立派な営業マン。いろんな戦略を立て、丁寧に仕事をする姿は現役のボクサー時代と変わらない。

常にいろんなパターンを考えていて、頭の回転が速く、用心深く、そして言葉巧みな彼は女の子にもモテた。

久しぶりの食事の席でも、隣のテーブルの美しい熟女にチラチラと目が行く。

「いいなぁ~熟女…」川島くんはつぶやいた。

お~い!年は熟女の条件を満たしているshioriを目の前に、なにやってんの??
と、いちゃもんをつけてみる。

川島くんは悪びれる様子もなく、「shioriは熟女じゃないでしょ…」と言ってのける。

じゃナニよ!!と食って掛かると

「白球を追いかける高校球児って感じ」

もしかして、今年はオリンピックで誰も見てないってことですかねぇ。カワシマクン。

ちなみに林カメラマンはなんなのよと聞いてみると
「林さんはブルーハーツのドブネズミって感じかな」と答える。

ブルーハーツのリンダリンダ、ドブネズミは最高の称号ではないですか!
ねずみつながりでいうと林カメラマンはお姉さま方に、トッポジージョに似ているとよくいわれていたっけ。
うまいこというなぁと感心しながら、ってことはあたしは「白球を追いかける高校球児」がぴったりってこと?
熟女めざしてるんだけどなぁぁ。熟女って響きがもう憧れになってきた。
あ~この話題、以前、麗しの女優かっぺいさんとも散々しましたね(笑)

あ~、頭の回転の早い川島くん、営業センス抜群の川島くん、取引先の担当者だと思ってあたしのキャッチフレーズもう一回考え直してよ。

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なにやってんだか……。 by shiori
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by officemigi | 2008-08-29 00:01 | Comments(4)

千秋楽

MOP千秋楽。
最高でした。
こんな凄い劇団に関わることができて幸せです。
今回も舞台袖でバシャバシャと撮らせて頂きました。
本番中にも関わらずご迷惑ばかりおかけしましたが(汗)
必ずいい本作ります。

写真は紀伊国屋の千秋楽。
舞台袖で見守るマキノさん。

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マキノさんと出会わなければ知る事のなかった世界。
本当に感謝です。
ミドリコさんをはじめMOPのメンバー、
コマンドエヌの橋本さん、スタッフの方々、
本当にありがとうございました。
あと2回、よろしくお願いします。
(勝手に決めてますが。。。。)

ハヤシ
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by officemigi | 2008-08-21 01:30 | 林建次の日々 | Comments(2)

純愛

暑いですね~。shioriです。
オリンピックも締め切りも真っ最中。ますますヒートアップしてます。

先日のダイヤモンドグローブでは升田貴久選手が見事な勝利で世界前哨戦を飾り、その興奮冷めやらず。そちらは林カメラマンから後日レポートがあることと思いますのでお楽しみに。

連日の劇団M.O.P「阿片と拳銃」取材に入ってます。
あと今日を含めてあと4日!!当日券まだあります。
チケットお取りしますのでmigiまで連絡下さい。

物語は浜松・上海・東京を舞台に40年の長い年月をかけて繰り広げられるまさに純愛物語。

毎度のことだが、キムラ緑子さんは本当に色っぽくてかわいくって、20代から70代まであぁ、女ってこうじゃなくっちゃねって身が引き締まる。
三上さん演じる滝口氏と小市さん演じる守山氏をめぐって、タイプの違う男性2人、どちらが好き?と終演後のロビーではいろんな声がささやかれている。

こういう声がたまらなく面白い。
みんなけっこう本気で論争してる。

どっちの方が愛が深いのか、、、、。
過去の自らの苦悩やら三角関係やら失恋やら泣きそうになりながら語っている男子たち。
マキノワールドはいつも、男性の方が先に泣く。
もしかして、男子の方が純愛度高いのか?

migi内でもかっぺいさん(キミ役・女優さん)をめぐってひそかなバトルが行われていた。
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ハートマーク付きのお手紙をもらって最高に盛り上がって観に来たMは夏らしく向日葵の花束持参。ところが舞台の上ではもっと大きな向日葵がセットに使われていてショックを受ける。
出遅れたイラストレーター、負けじと後日プレゼントを持参しようとたくらんでいる。

お芝居を観終わって、皆でご飯を食べたとき、「純愛」について盛り上がる。
そういえば、今年のmigiのテーマは純愛だったね。
林カメラマンとMとshioriの3人で、まさしく劇団MOPの年越しライブを観た後、新年会をしたときに誓ったじゃありませんか!

純愛とは…それぞれ物語にタイトルがつけられ、それはないやろ?!と突っ込みどころ満載のみなさんの純愛物語はここには書けませんがかなりおもしろかったです。
ちょこっとだけタイトルを紹介すると
「リトル・マーメイド~貝になりたい」
「ドッキリ☆肩車」
「跳ねる女・担ぐ男」(ねぶた帰りの発想)
どれもR15指定です。

そんなあやしい純愛物語よりも、もっと人生に必要な物語が詰まっている「阿片と拳銃」。
10代が観ても、70代が観ても気づくことがたっぷり。
ちなみにshioriの母も観に来ました。久々のお芝居にお疲れかと思いきや、もうチョット観たかった!と一旦ホールを出たにもかかわらず、「やっぱり役者さんに合わせて」と言われて引き返し、ちゃっかり写真まで撮っていただきました。スンマセン。
久々の親孝行させていただきました。

ぜひぜひ、お見逃しなく!!

新宿東口紀伊国屋書店4階・紀伊国屋ホールにて(全席指定5500円)
15日(金)19時~
16日(土)14時~・19時~
17日(日)14時~
18日(月)14時~
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by officemigi | 2008-08-15 16:43 | 劇団MOP | Comments(9)

本日8月11日国内初女子世界戦

ボクシングに関わるようになって、長い年月がたったが、女子の世界戦のポスターを制作することになるとは思いもしなかった。

撮影のとき、ライカちゃんも桃ちゃんもとてもナイーブでかわいい女の子という印象。
ところがいざ、ファイティングポーズをとると男子顔負けの迫力でびっくり。
闘う人に男も女もないのだと気づいた。

下記は昨日の調印式の模様。
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凄みのあるファイティングポーズを見たカメラマンが、笑顔を要求した瞬間、場が和んだ。
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ライカ選手(山木ジム)はいつかは女子ボクシングが認定される日が来ると思っていたが、まさか自分が現役のときに実現すつとは思っていなかったというだけに最高の笑顔で試合に挑む。
小関選手(青木)は1年前、タイでまえに闘ったチャンピオンに再度、しかも日本で闘えることになり、おもいの強さも人一倍だ。

この女子の世界戦にはさまれて行われるセミファイナルは、升田貴久選手(三迫)の世界前哨戦。
相手は世界挑戦を前に闘うのに申し分のない元世界チャンピオン、ワンディ・シンワンチャー。56勝のキャリアを持つ強豪だ。
しかし、升田選手は気負うことなく、自然体で「まぁ、普通にやりますよ」と笑顔で答えた。
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アンダーカードには具志堅ジムの新星、江藤兄弟がそろって出場する。
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 (左から双子の長男・光喜、次男・大喜、三男・伸悟)
光喜選手はデビュー、大喜選手は新人王準々決勝、伸悟選手は2戦目だ。
そろって勝ち星をつけることができるかどうかも楽しみの一つだ。

充実した試合になりそう。
ぜひ、後楽園ホールにお出かけ下さい。

8月11日(月)17時開場 17時半開始

世界戦小関選手の試合が19時より
セミファイナルに升田貴久
ファイナルがライカ選手となる。
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by officemigi | 2008-08-11 11:42 | Comments(4)

阿片と拳銃

shioriです。
劇団MOPの初日行ってきました!
舞台は本当に生ものですね。

そして役者だけでなく観客と一緒に作り上げるもの。
大阪と東京では笑いのつぼが違うのか、盛り上がる場面も違うと出演者の方から伺い、その面白さに惹き付けられた。
えっ!?ここ?!という場面は毎日変わる。

初日はデザイナーのYくんが観に来る。
彼はうんちく王でテレビ大好き人間。
いつもユニークな視点で物事をとらえる。
Yくんにとっての初めてのMOPは前半オムニバスについて行くのが必死だったが休憩時間にロビーで受け取ったフライヤーを確認し、お〜、そういう事かと理解を深め、後半を楽しむ。

特に、Yくんが観たかったのは女優のかっぺいさん。
今年初めに合コン(笑)をしたときにふたりは出会った。

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        (かっぺいさんとYくん)

テレビマニアのYくんはいろんなところで活躍されている芸能人を見つけるのも得意で、人懐っこいのでいつのまにか終演後のロビーで俳優さんともお喋りしてた。

帰り道、熱く芝居について語っているとshioriに仕事の電話が入り、立ち止まる。
とその時、偶然、舞台に出演されていた俳優さんがやってきた。
Yくんはshioriが電話してるうちに、勝手に役者さんに近づき(決して指示した訳ではありません)
「あ〜、この人、大ファンで写真とって欲しかったって言ってたんですけどいいですか?」とか交渉してるではないか!?
仕事で絡んでる人にそんな素人みたいな事言っていいのか?!と思いながらも、電話が切れずにオタオタしていると、電話終わるまで待ってるから〜みたいな流れをYくんが作っている。こんなにできるYくんをみたのは久々だ。見直した。(本業のデザインの仕事は元々凄腕ですが)

俳優さん「どういう知り合いなの?」
Y「あ、合コンで、云々〜」

Yくん、なんで合コンとか言っちゃうのよ!あたしたち、仕事も一緒にやった事あるでしょ、、、とか気がきでなく、仕事の電話もボロボロになる。長い打ち合わせ電話が終わり、携帯で撮影。

shioriは仕事よりテキパキと指示。
ねぇ、Yくんのカメラ解像度いくつ?とか、あっ、ここ明かり足りないからこっちでとか、、、ちょっとYくん引き気味。

デザイナーですからトリミングはばっちりですとシャッターを押してくれたYくんに感謝。
出来上がった写真はコチコチのからだに比べて目が思いっきりハート型になってる。
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あ〜こんなこと現場でやってたらしかられる。
それに現場では素敵な俳優さんがだらけできりがない。
偶然のこの場限りだからできることなのだ…といいつつもちょっとは反省してます。すみません。

で問題です。
この笑顔が素敵な口元を持つ俳優さんとは一体誰でしょう。
それは紀伊国屋ホールで見つけて下さいね。
ご来場お待ちしてます。

そうそう、これも宣伝戦略にひとつなのです。
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by officemigi | 2008-08-08 19:10 | 劇団MOP | Comments(12)

MOP東京公演始まる

ついに劇団MPO東京公演が始まった。
去年のエンジェルアイズでは、かなり張り付いて撮らせて頂いた。
しかし、今年はどうしても自分のスケジュールに限界があり、
大阪、四国の公演について行けなかった。
稽古以来、久々にMOPメンバーに会うと皆さん引き締まったいい顔してる。
が〜〜っちくしょう!やっぱり行きたかった!
けど、今回はしょうがないのだ。。
東京公演も限られた日にちしか行けずストレス溜まりそうだけど
行った日は鬼畜のように撮らして頂きます。スイマセン、よろしくお願いします。

お芝居は今回もかなり面白い!!当然だ!!
大阪、松山、高知、須崎と巡業して
芝居も洗練されて一番いいとこで東京公演だ。
紀伊国屋ホールってボクシングの聖地、後楽園ホールに似てるなぁ。
引き締まるんだよね。磁場があるっていうか。
ワクワクします!

そんでもって、MOPでもいい本作らなくては!

とにかく時間つくって紀伊国屋ホールへいこう!!
間違いなくサイコーです!

公演日程

8月6日(水)~8月18日(月) 紀伊國屋ホール 12日休演
14:00 9日、10日、13日、16日〜18日
19:00 6日〜10日、 11日、13日〜16日
料金(全席指定・税込) 5,500円
        ※8月6日(水)、7日(木)は割引価格ステージにつき4,500円

チケット取り扱い
 キノチケットカウンター(10:00~18:30/店頭販売のみ/新宿東口 紀伊國屋書店 新宿本店5F)
 電子チケットぴあ  0570-02-9999(Pコード 385-884)・0570-02-9988
          @ぴあ http://pia.jp/t(要事前登録)
 ローソンチケット  0570-084-003(Lコード 33472) http://l-tike.com/
 イープラス http://eplus.jp/(PC・携帯共通)

  当日券 開演の1時間前より劇場受付にて販売いたします。

 公演に関するお問い合せ コマンドエヌ 03-3366-6786
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by officemigi | 2008-08-07 05:57 | 林建次の日々 | Comments(0)

コハちゃん

暑いです。
たまらんです。

木村学さん、ホントにありがとうございました!
記事を読んで頂いた方々、コメントを寄せて下さった皆様
ありがとうございます。
今、本をなんとかまとめる作業中。
頑張らなくては。
ボクサーたちとかかわって10数年。
いろんな想いがあります。
ちょっと思いついたまま書こうかなと。
〝またかいな〟と思うでしょうが、
まぁ、まぁ、これしかないんで。僕。


古波蔵保知。
コハグラヤストモって読みます。
僕はコハちゃんと呼んでます。
最近もちょっと電話で話しました。
相変わらず、控えめに詰まりながら喋る声を聞いて
まったく変わらん男だなぁ、と思いました。
コハちゃんを初めて撮ったのは、1998年の新人王の予選、後楽園ホール。
まだボクサーを撮り始めて1年過をぎた頃。
このときは、まだお互い顔見知り程度。
ジムで見かける彼は、地味でまったく目立たない存在だった。
正直ボクサーとしての才能があるとは思えなかった。
寡黙すぎるくらい寡黙で、不器用さを丸出しにしたまま生きてるような、
そんな感じがした。
この日、僕は同じジムの他の選手を撮るために後楽園ホールに向かっていた。
ホールのエレベーターでたまたま彼と一緒になって、初めて彼の試合があること
を知ったのだ。

彼はリングに上がる前、決意した、鋭い顔をしていた。
僕はグイっとそれに吸い寄せられて、1枚だけ撮った。
試合は観たかったけど僕は他の選手に張り付いて撮っていたので、
出番を待つ選手たちがいる控え室に急いで戻った。
勝ってくれるといいな、と思いながら。
控え室に戻ってすぐに、リングから何度も大きな歓声やどよめきが聞こえてくる。
どうやら、凄いファイトになってるようだ。
4ラウンド目だっただろうか、KOを告げるゴングが打ち鳴らされた。
勝ったのだろうか。それとも。
しばらくして、控え室のドアがバンっと開いた。
トレーナーたちに両腕を抱えられて、なだれ込むように彼が入ってきた。
顔面は恐ろしいくらいに晴れ上がっている。
顔もそうだが、トランクスは血と汗で滲んでいる。
トレーナーたちは彼をイスに座らせ、慌ただしくグラブやシューズの紐をほどいたり
晴れ上がった顔を氷で冷やしたりしていた。
「大丈夫か?気分悪くないか?目、見えてるか?」
かなり打たれたらしい。
控え室が緊迫した。
出番を待つ他の選手たちは、自分は絶対こうはならない、
勝者として戻ってくるんだと、今、目の前の、この事態を否定するように
シャドーしたり、目を瞑り集中したりしている。
彼はまだ興奮していて肩で息をしていた。
負けたことに、これっぽちも納得していない様子だった。
顔は観るに耐えないくらいに晴れ上がってるけど、
全身からまだ闘うオーラが出ている。
まだ闘えるのに、どうして止めるの?  そう言いたげだった。
ボコボコに腫れた顔から吹き出してくる汗と一緒に涙が滲んでいた。

相手は優勝候補の林田龍生という選手。
(このトーナメントを制し、全日本新人王となり、東洋チャンピオンまで上り詰め世界を期待されたボクサー。彼も撮らせていただくことになるんだけど、それはもう少し後のこと)
ほとんどの試合をKOで勝ってきてる。
おそらくコハちゃんには勝ち目はないと、みんなそう思っていたらしい。
普通にみてもそうだったろう。
「コハグ、あたって砕けるしかないよ。」 試合前からそういわれてた。
「相手が誰だろうと、砕けるわけにはいかない。絶対に目にものいわしてやる。」
そう決意して臨んだリング。
試合は1Rから林田君か打ちまくり、それを受ける展開。想いを込めたパンチを振り回すも空を切るばかり。いくらパンチをもらってもコハちゃんは頑として倒れない。それどころか、晴れ上がった顔で、さらに鬼気迫る形相で向かっていく。ずっとそんな展開だったらしい。
後に林田君が言っていた。「いつもの相手ならとっくに倒れてるのに、倒れない。なんでだって?不気味だった。」
あまりの凄惨さにレフリーが試合を止めた。TKO。
しかし、コハちゃんはレフリーに抱きついて食い下がる。
なんで?どうして?まだやれる、お願いだからやらしてくれ、と、あの顔で震えながら必死で訴えたらしい。
最後はトレーナーたちに引っ張られてリングを降りた。
コハちゃんのボクシングは、その不器用さ丸出しの生き方そのものだった。
この時撮った、たった1枚の写真を現像してコハちゃんに渡した。
最後まで撮らしてもらおう。僕はそう決めた。
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KO負けすると、健康面の問題で3ヶ月は試合はできない。連敗でもしたら
さらに厳しくなるし、試合を組む相手もなかなか難しくなる。
コハちゃんは連敗が続いて、なかなか試合が出来ないでいた。
1年以上も試合ができない時もあったと思う。

そんな頃にコハちゃんとメシ食べたり、家におじゃましたりして
いろんな話を聞いかせてもらった。
小さい頃、テレビでみたボクシングに憧れていたこと。
生き別れた父親から貰ったおもちゃのボクシンググローブが
宝物だといって見せてくれたこと。
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卒業文集に世界チャンピオンになるのが夢だと書くのがはずかしくて
ボクシングの選手になるとだけ書いてしまったこと。
上京して間もない頃、バイト先の女の子に一目惚れして、
必死で口説いて彼女にしたこと。
なかなか勝てず、試合も出来ず、どうすればいいのか
悩んでいること、など。

僕はコハちゃんに試合が決まったら必ず連絡してくれと会うたびに言っていた。
もちろん、ジムに行ったときは、トレーナーからも聞いたりした。
「どうっすかね、コハちゃん決まらないっすか?」
「いや〜いろいろと声はかけてるんだけどね、きびしいよ。」
この頃になると、僕もかなりの人数のボクサー達を追いかけていたので
コハちゃんのいるジムに行くにも、かなりキツかった。
いずれにしても、次の試合は彼にとって進退のかかる試合に
なることは間違いないだろう。絶対に外せない。
そう、思いながら、僕自身、日々に余裕をなくしていった。

そんなある日、コハちゃんから連絡がきた。
決まったんだ!
そう思って、電話に出た。
「試合はいつ!相手は?」
ちょっと興奮ぎみだったと思う。
でも帰ってきた返事は予想していないものだった。
「昨日、試合しました。」
「え!?」
「負けちゃいました。   引退します。」
「ちょっと待ってよ、連絡してくれってあれほどいってたのに。どうして。」
目の前が真っ暗になった。
「いままでずっと撮ってもらてて、すごく嬉しかったけど、俺みたいなの撮ってもらうのは価値がないような気がして。なんだか本当に申し訳なくて。さんざん迷ったけど、連絡しないと決めたんです。」
ちがう、そうじゃないのに。
世間では、まったく興味のない、単なる前座の4回戦なんだろう。
でも僕にとっては価値のある、とても大事な試合だった。
そういえば、コハちゃんの試合の日程は、いつも僕が嗅ぎつけて行っていた。
彼が自分から言い出すタイプではないのはわかっていたはずなのに。
なんで、気がつかなかったのだろう。
忙しさを理由に自分の醜態が、どうしても許せなかった。
もう、どうあっても、最後の試合には戻れないのだ。
正直、あまりの情けなさに泣けてきた。
「いままで、本当にありがとうございました。どうしてもそれだけは伝えたくて。」
「すまない。申し訳ない、行けなくて。最後、どうだったかを聞かせてくれ。」

コハちゃんの最後も、きっと彼らしく、
不器用さ丸出しの、切なくなるようなボクシングだったんだと思う。
もうボクシングからちゃんと決別するためだけに、リングに上がったと言っていた。
でも、僅かな可能性に賭けて懸命に向かって行ったんだろう。
叫ぶように、拳を振り回してるコハちゃんの姿が目に浮かんだ。
いくら振り回しても、その想いは届かなかった。

でも僕はたった1度だけ、古波蔵保知が、夢を叶えた瞬間に立ち会うことができた。
夢は、もはや世界チャンピオンではない。
それは、ただひたすら待ち望んで、やっと手に入れた大切な試合に、
なにがなんでも勝つこと。
後楽園ホール。
彼はこの場所で、ある時、ある瞬間に、強烈に輝いた時を持つことができた。
ずっと、ずっと溜め込んできた、そのありったけの想いをついに爆発させた。
あまりに興奮して舞上がっちゃって、ピントがまるで合っちゃいなかったけど
僕はやっとそれを撮ることができた。
純粋に嬉しかった。解き放たれた瞬間に酔いしれた。
とにかく最高の夜だった。
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最後に。
彼の試合には毎回お姉さんが地方から応援に来てました。
ホールの後ろの方の席で控えめに。
小さな子供たちと一緒に。

そのお姉さんがコハちゃんに送った手紙。
勝てなくて、苦しかった頃の唯一のバイブル。
もうひとつの宝物。


保知へ

7年前、着替えのはいったカバンだけを持って

「東京に行く」と言った君を駅まで送りました。

君の事をよく知らない人たちは、

ボクサーを目指していた若い君に、

説教じみたことを言ってたよね。

「現実を見てちゃんと働け」

「なれるわけがねぇ」

そう言われてたプロボクサーに君はなりました。

ここまでボクシングを続けるのにたくさんの葛藤があったと思います。

だから私は君に強くなってほしいと思います。

これから先も思い通りに生きて行ってほしいから。

がんばってください。

私は無条件で君の味方です。

                 おねえより


古波蔵保知  
2006年3月   およそ10年に及ぶボクサー生活を引退。
戦績11戦3勝8敗  勝った試合は全てKO勝ちだった。

kenji
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by officemigi | 2008-08-02 19:55 | 林建次の日々 | Comments(6)